【連載】第2回 動画広告虎の巻「動画はわんこそば」

こんにちは。NewsTVでディレクターをしている市川と申します。 こちらのコラムでは、動画広告作りに関するポイント・注意点を"制作"チームの視点からお伝えしていきます。

前回は動画には「時間軸」があり、情報を表示していることに「制限時間がある」ことをご説明しました。
今回はその制限時間についてもう少し考えてみましょう。

1、「情報量のマネージメント、とは?」

例えば上の図のように60秒の動画の中に、大きく5つのブロック(シーン)があるとします。
これらブロックは12秒、14秒、10秒、16秒、8秒といった時間軸を持っており、言い換えれば、その情報の表示に制限時間が発生しています。


動画の制作者は、その制限時間内で「視聴者が理解できる情報はどれくらいか?」
ブロックに詰める情報の量をきちんと考えなくてはなりません。


極論を言うと動画の制作というのは、
制限時間付きのブロックに「どれだけの情報量をつめるのか?」この判断の繰り返しと言えます。
つまり「情報量のマネージメント」です。

2、「情報量の臨界点を考える」

例えばテロップなどに代表される「文字」情報について考えてみましょう。
ある海外の研究によると、人が読める文字の平均数は10秒間に80-90字だそうです。これは集中した状態での話で、実際の動画に詰め込める文字はもっと少ないかもしれません。

またテレビ時代の先輩の話によると、 人は1秒間で13文字以上は認識できないというデータもあるそうです。
いずれにしろ、このブロックに含まれる情報量が、視聴者が理解できる限度を超えるとどのようなことが起こるでしょうか?
それは、

視聴者は「動画を見ることをやめる、離脱する」

ここで大切なのは、動画にどれだけ多くの質の高い情報を詰めていようが離脱されれば、伝わる情報はゼロになるということです。

また、このルールは動画と静止画の大きな違いでもあります。
情報の表示に制限時間がある動画とそれがない静止画とでは、クリエティブの組み立て方が根本的に異なるのです。

では、動画の情報量は少ないほど良いのか?

もちろん答えは、Noです。ブロック内の情報量が少ない、展開がスローリーな動画は視聴者が離脱します。
特にWeb動画の視聴者は情報処理能力が高く、ある程度は類推で処理することもできます。つまりまとめると、、、

・視聴者が処理できる情報量の臨界点を判断し、それを超えてはいけない
・その一方で、視聴者を飽きさせない充分な情報量とテンポが重要である

そしてこの臨界点の見極めは作り手の感覚や感性ではなく、過去の豊富なデータに基づき判断していく。
これがNewsTVの考え方でもあります。

3、「動画制作は、わんこそば」

動画制作というは「わんこそば」のようなものだと考えると、わかりやすかと思います。
作り手は、視聴者に食べてもらう蕎麦(情報)を最適な量で、テンポで視聴者の器に入れていくことが求められます。

蕎麦の量が多すぎたり、サーブのスピードが早いと視聴者は食べきれず、食べることをやめるでしょう。逆に蕎麦の量が少なすぎたり、サーブが遅すぎるとやはり視聴者は席を立つでしょう。


最適な量テンポで蕎麦を器に入れ続け、最後まで蕎麦を食べ続けてもらう。その結果として、動画の最初から最後までの視聴、つまり完全視聴が達成されます。


NewsTVでは、視聴者がどのようなタイミングで思わず箸を置いてしまうのか?ミクロとマクロの視点で、その離脱ポイントの分析を繰り返しています。
そのデータに基づいて、クリエイティブを構築しているのです。

いずれそのことについても詳しくお話しできればと思います。次回からは、いよいよ動画制作時のポイントについてご紹介していきたいと思います。

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